フィル・スペクターのプロデュースにより完成したLPレット・イット・ビー
今日の1曲
”Imagine" Produced by John & Yoko & Phil Spector
プロデューサーのフィル・スペクターが亡くなりました。ビートルズが、お蔵入りしていた1969年のGet Backセッションのテープをすべて1970年1月にスペクターに渡して、LPレット・イット・ビーが完成したことを、今回改めて知りました。レット・イット・ビーは、初めて自分の少ない小遣いを貯めて買ったLPで、何度も繰り返し聞きました。
シングルヴァージョンの「レット・イット・ビー」のアレンジはジョージ・マーティン、アルバムヴァージョンの『レット・イット・ビー』のアレンジはフィル・スペクターがプロデュースを手がけ、ギターソロとオーケストラのミックスが大きく異なっています。
東芝のステレオプレイヤー「ボストン」のコマーシャルを聴いて衝撃を受け、最初に買ったシングル盤が「レット・イット・ビー」でした。次にLPを買った私は、『レット・イット・ビー』のアレンジの違いに再び衝撃を受けました。
The Beatles - Let It Be (Film Outtakes - 31st January 1969 - Take 23)
https://www.youtube.com/watch?v=ToOLuVzMAro
ジョージ・マーティンのヴァージョンは、この映像のサウンドに近い。
The Beatles - Let It Be LPヴァージョン
https://www.youtube.com/watch?v=eOXDt1XvHgY
0:52のハイハットのディレイから異次元のサウンドになり、1:32のオーケストラに圧倒された。メロトロンのようにも聴こえる。他方、シングルヴァージョンで印象深かったサビでのバックコーラスはかなり除去された。
ジョンレノンが自身の最高作の一つというアクロス・ザ・ユニヴァースもフィル・スペクターのプロデュースにより、オーケストラとコーラスがオーバー・ダビングされ、夢のような素晴らしい音に拡がっています。
The Beatles - Across The Universe
https://www.youtube.com/watch?v=90M60PzmxEE
この曲もコーラスがメロトロンのように聴こえる。
「ロング・アンド・ワインディング・ロード」も大好きでシングル盤も買い、こちらはLPと同じ音源でした。素晴らしいアレンジなので、ポール・マッカートニーがスペクターのアレンジとプロデュースに不満だったことを知ったときは驚きました。
The Beatles - The Long And Winding Road
https://www.youtube.com/watch?v=fR4HjTH_fTM
The Beatles Let It Be Naked
https://www.youtube.com/watch?v=naIG0tdXlGw
これがスペクターが手を加える前の原型だった。
〜 ジョンレノンとの関係 〜
ジョン・レノンとジョージ・ハリスンは散漫なGet Backセッションを短期間にアルバム『レット・イット・ビー』にまとめたスペクターに感銘を受け、ソロ・アルバムのプロデューサーとしました。
最初のジョンとスペクターの関りは、1969年6月1日録音のレノンのPlastic Ono Bandとしての初ソロ作品「平和を我等に」Give Peace a Chanceに、スペクターがその場にいた報道陣などと一緒にコーラスで参加したことです。
Plastic Ono Band - GIVE PEACE A CHANCE 1969年
https://www.youtube.com/watch?v=C3_0GqPvr4U
ベトナム反戦運動に使われた。音楽が一番影響力を持った時代。
今回初めて「ジョンの魂」や「イマジン」のLPもスペクターがプロデュースしていたことを知って驚いています。改めてこれがスペクターサウンドだったのかと思うと、とても感慨深いです。
ジョン・レノン / マザー Mother 1970年
https://www.youtube.com/watch?v=sPYsMM1FvXs
イントロの鐘の音が印象的。ヨーコのサポートを得て、5歳で父母と生き別れになったジョン自身の心情を歌った。1969年にJames BrownもMother Popcornで、子供には母の愛情が必要だと歌っている。スペクターも10歳のときに父が自殺した。
ジョン・レノン / ラヴ(愛)Love 1970年
https://www.youtube.com/watch?v=7er_xx7Wmg8
フィル・スペクターがピアノを担当。エンディングに付加したピアノが感動的。
ジョン・レノン / イマジンImagine 1971年
https://www.youtube.com/watch?v=wARpk54fv8U
Imagineで始まる詞はヨーコの反戦詩から着想を得た。ピアノをダブルで録音したのもヨーコのアイディア。スペクターがニューヨーク・フィルハーモニックによるストリングスアレンジを手掛けた。
懐かしいジョージ・ハリソンのMy Sweet Load (マイ・スウィート・ロード)もスペクターのプロデュースと知りました。
GEORGE HARRISON / My Sweet Load (マイ・スウィート・ロード)
https://www.youtube.com/watch?v=lQLBb9QSiy0
このころのヒット曲は、ラジオや街や商店で何度も流れていた。
スペクターサウンドでとても好きなのが、ライチャス・ブラザーズ (The Righteous Brothers) / ふられた気持You've Lost That Lovin' Feelin'です。
ご自身もビートルズの仕事をしていた時期が充実していたと生前語っていたそうです。フィル・スペクター氏のご冥福をお祈りします。
The Righteous Brothers / You've Lost That Lovin' Feelin'
https://www.youtube.com/watch?v=uOnYY9Mw2Fg
「20世紀にアメリカのテレビやラジオで最もオンエアされた100曲」のランキングで800万回以上のオンエアで1位。「ライチャス」の名は、黒人から正しいソウルがあると言われたことによる。