Stefano D'Orazioが最初に参加した「ミラノの映像」
今日の1曲
イタリア史上最高の人気バンド、イ・プーのドラマーStefano D'Orazioさんが亡くなりました。コロナに罹り入院していたようです。イタリアでもたくさんの追悼文が出ています。
E' morto Stefano D'Orazio, storico batterista dei Pooh
https://www.quotidiano.net/cronaca/stefano-d-orazio-morto-pooh-1.5689414
Dodiも彼との50年間は兄弟以上の兄弟だったと述べている。
CARLA VISTARINI RICORDA D'ORAZIO
https://www.dagospia.com/rubrica-2/media_e_tv/carla-vistarini-ricorda-39-orazio-39-39-ciao-stefano-anche-tu-ce-252128.htm
作詞家CARLA VISTARINIの思い出
2020年のブログは、最初の3か月間はコロナへの不安で書く気力が失せてしまいましたが、4月の志村けんさん、アランメリルさんのコロナによる訃報が再開のきっかけになりました。
志村けんさんが亡くなった衝撃は、コロナ警戒に対するメッセージとなり、自粛期間を乗り越える力になったと思えます。ヨーロッパでも日本でもコロナの第3波が懸念される中でのStefano D'Orazioさんの訃報となりました。
今年のブログの半分は訃報になりました。しかし訃報を機に、若いころに繰り返し聞いた音楽を聴きなおすと非常に勇気づけられました。故人の作品は永久に生き続けることを実感しました。
このブログは、2006年の祖母の死と2013年の山口冨士夫の死をきっかけとする病の音楽による回復の記録でもあります。自分の年齢ではかつてヒーローだった人たちが亡くなっていくことが予想され、それへの恐怖も感じていました。
しかしショーケンの死が認識を変えました。ショーケンは死期を自覚しながら、ファンを心配させないために全く周囲に話しませんでした。死ぬ1年前の「不惑スクラム」という最後のドラマで、ショーケンは中年腹で出演しました。ショーケンも太ったと思ったのですが、それは病気による腹水で、異常な苦痛と戦っていたといいます。ショーケンは死ぬ1週間前に「いい映像を作ってください」と言ってNHKに1年間の個人的に撮影したビデオを渡し、「クローズアップ現代“ショーケン”最期の日々」が放映されたのでした。ショーケンによって、故人が自分の死で家族やファンが病気になることなど望んでいないと強く思うに至りました。2週間前に母の知人が亡くなって、母が精神的に極めて不安定な状態になったのですが、ショーケンから学んだことを話しているうちに元気になってきました。
LP「ミラノの映像」イタリア盤の内ジャケより
Stefano D'Orazioさんの死もコロナに対する警鐘と受け止め、改めて故人の音楽を振り返ってみたいと思います。
イ・プーを初めて聞いたのは1975年ごろ、1972年のLP「ミラノの映像」(Alessandra)でした。その頃はDeep PurpleのようなハードロックやPFMのようなプログレッシブロックが全盛で、イ・プーのようなソフトロックのタイプはロックの中では異質で少数派でした。
しかし、「ミラノの映像」はシンセサイザーと壮大なオーケストラによる見事なサウンドで、12曲が揃っていてトータル性もある素晴らしい作品でした。
ボーカルも、Dodyとこのアルバムを最後に脱退して後にサンレモで優勝するRiccardo Fogliの超ハイトーンボイスという最強コンビでした。
特にA面の1曲目から2曲目の流れが見事で何度も聞きました。このLPだけは、歌詞付きの日本盤とダブルジャケットのイタリア盤も両方持っていました。
I Pooh - La nostra età difficile
https://www.youtube.com/watch?v=AdIrkSWVPhY
A面の1曲目。ベースやドラムもリズムを刻むだけではなく「歌」を構成していて魅了された。本作から加入したStefano D'OrazioのI Poohでの記念すべき1曲目でもある。
I Pooh - Noi due nel mondo e nell'anima 愛のルネッサンス
https://www.youtube.com/watch?v=GmMoWfZi7YA
A面の2曲目。1曲目だけでも素晴らしいのだが、シングルで1位になったこの曲でイントロから圧倒され、1曲目が序曲のような位置づけになる。
1972年8月5日に1週間1位
プロモーションLPでも La nostra età difficileと Noi due nel mondo e nell'anima「愛のルネッサンス」が1曲目と2曲目に配置された。
Pooh - Nascero Con Te
https://www.youtube.com/watch?v=WKzwNOMBvog
さらに追い打ちをかけるA面の4曲目。Riccardo Fogliが上のFというロバート・プラント並みのハイトーンで歌う。0:15から3:00まで1972年の貴重な写真がたくさん出てくる。
イタリアで最も成功したバンド、I POOHの1970年代のLPチャート
Stefano D'Orazioはアリーチェの1stアルバムで、全曲で作家としてクレジットされています。この作品も「ミラノの映像」と同じArranger - Danilo Vaona, Producer - Giancarlo Lucarielloという黄金コンビで、女性版I Poohともいうべき世界が創出されています。
ALICE VISCONTI - Io Voglio Vivere (I want to live) 1975年
https://www.youtube.com/watch?v=UMa2tbQH23U
(Cristiano Minellono, Brioschi,Stefano D'Orazio )
ALICE VISCONTI - Io Voglio Vivere (1975)
https://www.youtube.com/watch?v=EbIfOZ-77sw
2012年のイ・プーの奇跡の来日公演では彼だけ不参加でした。3時間3日連続は体力的に厳しかったのかもしれません。
2016年の最後のRiccardoも含めた再結成(解散)では素晴らしいドラムスを披露していました。Stefano D'Orazioさんのご冥福をお祈りします。RIP
Pooh - Noi due nel mondo e nell'anima 2016年 Live Video
https://www.youtube.com/watch?v=nWFn1-i6KPQ
Stefano D'Orazioもドラムを叩く入魂のプロモーション・ライブビデオ
Pooh - Chi fermerà la musica (Videoclip)
https://www.youtube.com/watch?v=9v0X87QrFjg
2016年
最後に追悼を込めてディズニーの名曲をアカペラで。
Over the Rainbow - Voctave A Cappella Cover
https://www.youtube.com/watch?v=JKfZwastGCg
Cherry Five、Rustichelli & BordiniのCarlo Bordiniが別のときにシェアしていたもの
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