2013年09月22日

生と死・宿願のサイン 〜 ニュー・トロルスNew Trolls来日公演・Concerto Grosso

P1010033.JPG
シングル盤New Trolls/Adagio

P1010039.JPG
Vittorio de Scalziのサイン


今日の1曲
 New Trolls-Concerto Grosso N°1 イタリア1971年LP最高2位
 New Trolls-Concerto Grosso N°2  イタリア1976年LP最高10位
 New Trolls-Quiet seas 1976年
 New Trolls-Le roi soleil 1976年


 New TrollsのConcerto GrossoとAreaの来日公演に行きました。6年前の4月にもConcerto Grossoのライブに行きました。それは丁度体調が悪くなっていくころで、ライブの後、1年ほど死線をさまよいました。あの頃のことを思い出すと苦しくなります。

 6年前、電車に乗ってなんとか会場にたどり着きました。ライブを見るのは数年ぶりでした。会場で、グッズを買った人は全員サイン会に出れると告示がありました。「サインは一人1回」と書いてあったので、係の人に聞くと「誰のサインになるかはわかりません」とのこと。オリジナルメンバーのNico、Vittorio以外のサインではしょうがないなと思って、サイン会には行きませんでした。
 ところが、後で聞いたら、メンバー全員のサインがもらえたと聞いてショックを受けました。体調が悪化し、精神的に不安定だったこともあり、サインをもらえたのに機会を逃した後悔が、ものすごい重圧になって毎日のしかかってきたのを思い出します。



 その後、なんとか生き延びて、今回、またConcerto Grossoを聞きに行けるようになったのだから幸運です。会場に入る前からチュウハイを飲んで夢心地。会場で、グッズを買ったら30名が抽選でサイン会に出れるとの告示がありました。ダメもとだと思って、今回はグッズを買うことにしました。

 いよいよ開幕。Concerto Grosso3,1,2の順で演奏される予定です。左側に陣取ったストリングスが見えると、ああConcerto Grossoだなあと感慨深くなります。
 新作のConcerto Grosso3は歌物という感じです。淡々と進んでいきます。
 どうもNicoは出演しないようです。Vittorioが英語で説明しました。Vittorioはここに3回も来れて嬉しいと話しています。

New Trolls "Like Ophelia"
http://www.youtube.com/watch?v=7wk-fpRuHx8
Concerto Grosso3の中で美しい曲。



 本命のConcerto Grosso1が始まりました。
 Vittorioは白髪で貫禄があります。Nicoが不在でも大丈夫という感じです。
 まず第1章Allegro。

New trolls Concerto Grosso1 Allegro & St. Peters day
http://www.youtube.com/watch?v=51_saVLTu_I
Senza Reteでのライブ。今まで見た音楽のライブ映像で5本の指に入れたい。30年以上嫌いだったAllegroだったが、これを見て取りつかれた。Allegro に続いてAdagioでなく、New trolls オリジナルのSt. Peters dayを持ってくるところも自信の表れか。

 そしてConcerto Grossoシリーズ最大の山、Adagio。できれば、2回目のストリングスの山場からエンディングにかけては、エレキギターは控えてストリングスだけにして欲しかった。エレキギターの音が大きすぎて、ストリングスが負けてしまうんですよね。Nicoがいないコーラスが心配でしたが、他のメンバーが十分に穴を埋めています。

New Trolls Adagio (Shadows)
http://www.youtube.com/watch?v=ycD8JqWbLyE
オリジナル。これを超えるものはなし。

Adagio
P1010042.JPG

映画La vittima designata (1971)- trailer
http://www.youtube.com/watch?v=lWhrgD6CSeQ
Concerto Grosso1は映画のサントラだった。映画ではレコードよりも不完全なトラックが使われていて、それがかえって新鮮。

映画La Vittima Designata Finale
http://www.youtube.com/watch?v=36rUDSTO0SU
Concerto Grosso1は死がテーマだったが、映画も死がテーマ。

L.Bacalov: Adagio dal "Concerto Grosso per i New Trolls"
http://www.youtube.com/watch?v=3DKLOxOkvRQ
ピアノとバイオリンによるライブ。情感が素晴らしい。

New Trolls Leggenda & Bacalov / Adagio del CG1
http://www.youtube.com/watch?v=ikN-s0CQq6M
作曲者のBacalov自身が指揮する2011年のオリジナルメンバーによる歴史的再演。

 Adagioのエンディングで、エレキギターと指揮者のバイオリンの掛け合いが何度か続き、6年前と違っていて、なかなか見せ場になりました。一転、第3章Cadenzaでは、女性のバイオリニストが主役になりました。

 Concerto Grossoのライブでは、通常のクラシックのコンサートよりもストリングスの音圧が高くて迫力があります。エレキギターの音に負けてしまったAdagioよりもCadenzaのほうがストリングスで夢見心地のトリップに連れて行ってくれました。そういえば、ここで2年前にTripのライブも見ることができました。

 

 バンドだけのConcerto Grosso1の第4章Shadowsが終わり、再び、ストリングスが準備に入りました。1976年のConcerto Grosso2がスタートです。1曲目のVivaceはイントロのシンセサイザーの音色も明るく、とても5年前にConcerto Grosso1を作った同じスタッフによるものとは思えません。

New Trolls-Concerto Grosso N°2 (1976)
http://www.youtube.com/watch?v=0VGKKiivXM0

 会場にいて改めてConcerto Grossoは時代を反映していると思いました。
 1971年のConcerto Grosso1は、ベトナム戦争真っ只中で、世界が死の恐怖に直面していた時代。イギリスではYes、Black Sabbath、King Crimson等が終末を歌い、ドイツではTangerine Dreamによる出口のないZeitのような作品が作られて、それなりのセールスがありました。今では信じがたいことです。

 1976年のConcerto Grosso2は、1975年にベトナム戦争が終わった1年後で、生に対する喜びに溢れています。Felona e Soronaで暗黒世界を描いたLe Ormeも、1976年は明るいポップスで2曲続けてヒットチャートで1位になったような時代です。今回のライブで、唯一、Vivaceの演奏中にストリングスの女性たちが花が咲いたように笑顔になりました。

 2011年のConcerto Grosso3(実際は1996年ごろに作っていたらしい)になると、先の見えない現代を反映してつかみどころがないと思いました。Concerto Grosso1のような死への恐怖もない代わりに、Concerto Grosso2のような生に対する喜びもありません。



 Concerto Grosso2に続くNew Trollsのバカロフにも負けないオリジナル曲Quiet seasやLe roi soleilのエンディングを聞いたら、毎日死ぬことばかり考えていた暗い高校時代を思い出しました。

 Concerto Grosso1のAdagioを聞いたのは、Concerto Grosso2よりも後でした。死をテーマにしたAdagioをヘッドホンでMaxにして何度も聞き狂ったことを思い出しました。今思えばAdagioを繰り返し聴くことで、あの頃は生き延びようとしていたのだと思います。死をテーマにしたAdagioの方が生きる源泉になり、Le roi soleilのような明るい曲が厭世的な気持ちになるのも不思議です。
 フランスの映画評論家が、「生きようと思ったら、本当に悲劇的な映画を見るべきだ」と言っていたのを思い出しました。
 高校生の頃や6年前のように自分から死のうとは今は思いませんが、自分の人生も本当の死の方が近づいてきたようです。

メンバーのサイン
P1010044.JPG

 Concerto Grosso2が終わり、New Trollsのライブが終わりました。(落選するとショックなので)あまり期待せずにいたサイン会の抽選が当選していました。まさかに備えて持ってきたConcerto Grosso/Adagioのシングルにサインをもらうことにしました。

 6年前、サインをもらわずに後悔して、その後、死線を彷徨ったときのことが嘘のようです。Vittorioに「Nice to meet you」と言って、握手してサインをもらいました。Adagioのシングルを差し出すと、Vittorioは「Oh」と言って驚いていました。

 テンパってしまって、質問したいことがとても聞けませんでした。サインも白のマジックがVittorioの手元にあったのだから表の黒いジャケットにしてもらえばよかったと、またまた後悔しました。でも初めてNew Trollsを聞いてから36年。宿願のサインをしてもらえただけで十分です。

New Trolls はげ山の一夜Una notte sul Monte Calvo
http://www.youtube.com/watch?v=5WuReYhHwS8
今回演奏していないが、珍しいライブなので。

Concerto grosso n. 3 - New Trolls e Luis Bacalov
http://www.youtube.com/watch?v=uq6OQ-_ar1c
オリジナルメンバー4人が30年ぶりに揃ったライブから。



この記事へのコメント
初めまして。
サイン会に当選されて良かったですね。
私も22日のライヴへ仙台から遠征しました。
高校生の時にジャケ買いをしたイプーのLPがきっかけで
イタリアンロックに引き込まれてしまいました。
これからもこちらのブログに時々お邪魔させて下さい。
Posted by こむぎ at 2013年09月24日 01:00
ご来訪ありがとうございます。イプーをはじめ、イタリアンロックはメロディーが素晴らしいですね。今後も来日公演に期待しています。またお立ち寄りください。
Posted by at 2013年09月24日 11:25
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック