2013年07月28日

「演劇」と「事件」〜 実験演劇室「万有引力」・天井桟敷「邪宗門」再演


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チラシと当日配布したパンフ

今日の1曲
 天井桟敷(J.A.シーザー音楽)/ 邪宗門1972年 
 昭和精吾「国家論」
 J・A・シーザーと悪魔の家+天井桟敷
     / 人力飛行機の為の演説草案 1973年

没後30周年になる寺山修司


 久しぶりに演劇を見ました。2月にミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」を見て以来。
 日本の演劇に至っては、20年以上見ていなかったかもしれません、最後に見たのは文学座の「12人の怒れる男」だったと記憶しています。

 一番演劇を見たのは高校生の頃です。今はなくなった「シティーロード」(月刊)、「ぴあ」(隔週刊)をしらみつぶしに読んで、興味を持った芝居を見てまわりました。招待券も応募して、小さな劇団の芝居を随分と見させてもらいました。



 今回見たのは、実験演劇室「万有引力」による天井桟敷の伝説的な「邪宗門」の40年ぶりの再演。2008年10月31日のブログで、天井桟敷の出身者がクラブWombを経営していることを書きました。30年前天井桟敷を渋谷ジャンジャンで1回だけ見ました。

 読売新聞で「邪宗門」が再演される記事をみつけて慌ててネットでチケットを購入。「邪宗門」は主催者寺山修司のテーマである「子捨て母捨て」の芝居が終わった後に、俳優、黒子が役割を捨て、自分の言葉で観客に向かってアジテーションするというもの。

演劇実験室「万有引力」
http://banyuinryoku.wordpress.com/

 天井桟敷では音楽が重要な役割を果たしていました。もともと寺山修司がPink Floydに関心があり、音楽担当のJ.A.シーザーの才能により天井桟敷は音楽呪術劇というジャンルを築きました。天井桟敷が外国でも成功した理由は音楽の要素が大きいでしょう。

書を捨てよ町へ出よう / ピース 〜 ダダダ
http://www.youtube.com/watch?v=ohFjpyY2el8
天井桟敷にはフラワー・トラベリン・バンドやハプニングス・フォーなどの1級のロックバンドが関わったこともある。



 40年で音楽がどう変化しているかも興味深い。開演30分前の入場と同時に音楽が始まりました。入場すると黒子の舞踏が始まっています。久々に興奮して、最前列の右側に座りました。目の前でドラムを叩いていたのはJ.A.シーザーだったと後で知りました。

 高校生のころは、芝居に行くと役者、観客を含めて劇場の中で自分が一番年下で、来てはいけない所にいるような緊張感がありました。久々に劇場空間にいると、すべてを客観的に見ている自分がいて、つくづく自分も年をとったと実感しました。



天井桟敷 / 邪宗門 1972年1月30日 渋谷公会堂
http://www.youtube.com/watch?v=0KGi-KJQkak
冒頭から観衆を挑発。時代を感じる。7:20では「皆殺しだ」発言も。38:10〜40:40の鞍馬天狗(昭和精吾)の独白ではアラブ・パレスチナにも言及。
★1:03:35ロックの演奏、1:04:58とそれに続く1:08:30からのアジテーションが最大の山場。「芝居は終わった。この続きはお前たちがやれ! お前たちがやるんだ、これからは!」 日本の演劇の到達点のひとつ。

 開演時間の7時ぐらいに舞踏が終わり、芝居が始まりました。
 目前で見たので迫力十分。聞きたかった鞍馬天狗の独白の箇所では鳥肌が立ちました。最後の問題のアジテーションの所がどうなるのか気になります。

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1971年にヨーロッパの新聞で絶賛された「邪宗門」 左は渋谷公会堂の観客

 ついに舞台が壊され、黒子たちが衣装を脱ぎ、素顔を見せて観客席を睨んでいます。J.A.シーザーが作曲した「1970年」に乗せて俳優が観客に言葉を投げかけます。J.A.シーザーが1972年の公演の科白を選んで再構成したものと思われます。

 再録音されたJ.A.シーザーの音楽も感動。寺山修司の言葉で一番好きな「どんな鳥も想像力より高く空を飛ぶことはできないだろう」という科白も使われました。目の前の役者を見ながら、私は1972年1月30日の渋谷公会堂での「邪宗門」を想像していました。



 1972年公演では、邪宗門ヨーロッパ凱旋公演を妨害しようとする者や過激派の学生などが観客にいて、寺山修司は万が一に備えてドスを用意していたといいます。最後のアジテーションでは、興奮した観客が暴れて渋谷公会堂が破壊されてしまいました。

 今回のように最前列に座っていたら、1972年なら劇団員に胸倉を掴まれていたかもしれません。やはり1972年の「邪宗門」は「演劇」ではなく、「演劇」と現実の境界が壊された「事件」でした。40年の隔たりを感じながら劇場の外に出ました。




J・A・シーザーと悪魔の家+天井桟敷 -人力飛行機の為の演説草案
http://www.youtube.com/watch?v=4dxe_-IEh3E
J.A.シーザーの1973年の「国境巡礼歌」より。「ジョン・コルトレーンに一目でいいから会いたかった」という科白に時代を感じさせる。

昭和精吾「国家論」(渋谷ジァン・ジァン)
http://www.youtube.com/watch?v=aHh9St0rqpc
1972年「邪宗門」公演でもっとも重要な役割を果たした昭和精吾の独り舞台
強くなりたいという弱い自分自身との対話。音楽もすばらしい。

「万有引力」の「邪宗門」へのツイッター評
http://ameblo.jp/octtakotako/entry-11579526301.html

長野での社会人による「邪宗門」への評
http://jogga.jp/joggablog/2012/11/post-231.html

武満徹からも評価されたJ.A.シーザーの音楽



posted by カンカン at 11:18| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 Diary | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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