2012年04月30日

イ・プーI Pooh来日 第2回イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァル part2

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1983年世界歌謡祭で初来日したときの記念盤

今日の1曲
I Pooh / Dove comincia il sole 2011年
 I Pooh / Cantero per te 1980年最高位4位/年間8位
I Pooh / 限りなき二人Infiniti noi 1973年イタリア最高位2位
I Pooh / 孤独な人Uomini soli 1990年サンレモ音楽祭優勝曲
I Pooh / Viva 1979年LP最高位2位
I Pooh / Parsifal 1973年LP最高位2位
I Pooh / Non Siamo in Pericolo 1982年
I Pooh
/ 君をこの胸にTanta Voglia Di Lei 1971年最高位1位/年間7位
 I Pooh
/愛のルネッサンスNoi due nel mondo e nell'anima1972年最高位1位/年間8位
I Pooh / 初めての恋人Nascero con te 1972年LP最高位2位
I Pooh / Chi fermer la musica 1981年最高位3位

 30年前に日本の世界歌謡祭で1曲歌っただけだったイタリアの国民的バンド、イ・プー I Poohが第2回イタリアン・プログレッシヴ・ロック・フェスティヴァルItalian Progressive Rock Festival のヘッドライナーとして来日しました。 

 イ・プーI Poohを日本のバンドで例えるならば、デビューはタイガースと同じ1966年。1970年代前半に全盛期を迎え、1970年代中半から1980年代前半はチューリップ、オフコースのようにヒットを連発。1980年代以降もサザンオールスターズのような人気を持続。現在もBzのようなスタジアム級の場所でライブを行なうというイタリアでは3世代に愛されている大物です。日本公演はギャラの問題で無理と言われ続けてきました。
 イタリア本国ではイ・プーはプログレッシヴ・ロックとは認識されていないのですが、1971年から1975年までの作品はオーケストラを導入したシンフォニックな内容で、今回プログレッシヴ・ロック・フェスの目玉として招聘されました。


I Poohの歴史を納めた新作4枚組DVD

イ・プー I Pooh ものすごい情報量のwikipedia
http://it.wikipedia.org/wiki/Pooh

 イ・プーとは「熊のプーさん」のことです。35年前はイタリアの他のプログレバンド、PFMやBancoと比較してイ・プーは甘い「ラブロック」と呼ばれ、軽く見られていました。私は2人の子供の写真のAlessandraというLPが好きでした。幸運にもAlessandraはI Poohの最高傑作といえる内容だったのでイ・プーに対してずっと好印象を持っていました。

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 イタリアはクラシック音楽の伝統があります。また1960年代のイタリアは、サンレモ音楽祭などポピュラー音楽の発信地のひとつでした。そこにBeatlesの衝撃が加わり、「クラシック、ポップス、ロック」という異なる要素の最良の部分を集めて生まれたのが、1970年代前半にイタリアでClasscal Popと呼ばれたジャンルです。Lucio Battisti, Mina, Patty Pravo, Mia Martiniなどが、本格的なオーケストラをバックにロックのビートに乗せて美しいメロディーを歌い上げました。イ・プーはそのClassial Popを代表するグループ。最初の大ヒットがイタリアで1971年に7週間1位になった君をこの胸にTanta Voglia Di Leiです。

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 1970年代の前半は、イタリアではClassial Popと同時進行的に、今はProgressivo Italianoと呼ばれるプログレッシブ・ロックも全盛になりました。Classial Popが陽とすれば、レ・オルメLe OrmeなどProgressivo Italianoは陰という関係にあるものの、いずれも音楽的な深さという点では共通するものがあります。この時期のイ・プーの作品はProgressivo Italianoとしても高く評価されています。Classial PopもProgressivo Italianoと同様に、1975年のベトナム戦争の終戦と同時に、その役割を果たしたかのように終息していきましたが、その伝統は今でも根付いています。

Classial Pop期の作品


 1976年のLe OrmeのPop化と同じくして、イ・プーもオーケストラを離れてバンドだけで演奏するようになります。この時期だけレ・オルメの大衆的な人気はイ・プーと同格でした。イ・プーの素晴らしいところはその後も持続してキャッチーなフレーズを伴ったヒット曲を継続的にリリースできたことにあります。
 そして1978年の「サタデイ・ナイト・フィーバー」による全世界的なDiscoブームにより、単調なリズムを強調する音楽がイタリアを支配するようになりました。これにより、メロディーの美しさで世界を魅了したイタリアの音楽の伝統は途絶えてしまいました。イ・プーはこの波も乗り切ることができましたが、レ・オルメは試行錯誤を繰り返すことになります。ちなみに2008年にイ・プーはBeat Generationというアルバムで1960年代のBeat系のバンドをカバーし、Le OrmeのGioco di bimbaや今回病気で来日中止になったFormula 3の曲も歌っています。
 このようにイ・プーは、1975年までのClassical pop期と、それ以後のバンド演奏による時期に大別できます。



 前置きはこれぐらいにして、イ・プーのライブは一言で「プロの中のプロ」という印象でした。3日も続けて同じバンドを見ることに耐えられるかと心配していたのですが、コーラスの素晴らしさ、音のバランス、曲構成、照明、MCなど本当に楽しませてもらいました。

 周囲の客席では大阪弁も聞かれ、日本全国のイ・プーファンが集結する中、やはり初日が一番開演が楽しみでした。シンセサイザーの前奏と共に幕が上がりました。イ・プーが登場し、拍手喝采です。イタリア最高の人気バンドが600人規模のライブハウスで見れるのは奇跡です。

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 まずDove comincia il soleという2011年の新作から3曲。これは1970年代前半 のClassical pop期に回帰するようなドラマティックな作品です。初日は右前方の席でDodyがよく見えました。Dodyは目をつぶりながら熱いギターソロを弾いています。素晴らしい。「Dodyかっこいいよ」と後ろの席の人が言っているのが聞こえました。
 曲が終わるとRobyがイタリア語で熱く、Dodyが英語でわかりやすく、そしてRedが英語と日本語で笑わせながら、日本に来れた喜びを語りました。

I Pooh / Dove comincia il sole
http://www.youtube.com/watch?v=fVQr0amn4w0&feature=related
7:00からのギターソロが素晴らしい。



 続いてCantero per te(1980年最高位4位)、Io sono vivo(1979年最高位3位)と大ヒットが続きます。メロディーがわかりやすいノリノリの曲です。2日目の日には前方にいた金髪のイタリア人の女性たちが立ち上がって手を振って喜んでいました。日本人よりも全然乗りがよくて、彼女を見ているだけでも楽しめました。 

I Pooh / Cantero per te
http://www.youtube.com/watch?v=2-QqYZf4x3Q
リズムはDiscoだがClassical pop期のように構成が練られた名曲。

 続いて、今回の目玉であるClassical pop期の名作Parsifalから限りなき二人Infiniti noi(1973年最高位2位)。

I Pooh / 限りなき二人Infiniti noi
http://www.youtube.com/watch?v=17eynv2yYl8&feature=related
緩やかに感動的に盛り上げていく名曲。

そして、Robyが「Rock Sinfonico」と紹介し、Classical pop期の「ロマン組曲」から10分に及ぶIl tempo, una donna, la citta(1975年)を演奏しました。正直、あまり印象に残らない曲でしたが、3日目に近くの人が曲が終わると一人だけ立ち上がってガッツポーズで叫びました。イ・プーたちも「この曲でか?」と驚いていました。一人だけ立ち上がる勇気と、1つの曲に対してこれだけ熱狂できるファンがいるという事実に感動しました。



 Redが「私たちは1回だけサンレモ音楽祭に出場し、優勝しました。」と言うとイタリアンポップスファンらしき人たちから歓声が起こりました。ドラムレスで感動的に歌い上げるUomini soli(1990年)です。そして大ヒットLPから、幻想的なPink Floydの雰囲気とDiscoのリズムが一体になったタイトル曲のViva(1979年LP最高位2位)。

Pooh / 孤独な人Uomini soli
http://www.youtube.com/watch?v=OmbRNPDENiQ&feature=related

Pooh / Viva
http://www.youtube.com/watch?v=cNrA6P25mVQ
 


 いよいよ今回の目玉中の目玉、Classical pop期の中でも最もProgressivo Italianoに近づいたワーグナーにインスパイアされたという10分の大作Parsifal(1973年)です。

Pooh / Parsifal
http://www.youtube.com/watch?v=UAgMVNB6DSg&feature=related
4:00 からI POOHのParsifalの貴重映像。3:08 ではTRIPが登場し、昨年11月に来日し今年4月に亡くなったWegg Andersenが熱唱。R.I.P

Pooh / Parsifal
http://www.youtube.com/watch?v=j2BEu_xpof8&feature=related
2009年のライブ。



 Parsifalが終わると、全員がスタンディング状態に。2日目が一番反応が凄かったと思います。あっと言う間に全員起立。しばらく興奮が止みません。続いてEleonora mia madre(1975年)。前に波のように揺れながら聞いている人がいたので、テンポが落ちるとその人の真似をして一緒に揺れると気持ちよくなりました。そしてNon siamo in pericolo(1982年)は乗りのいい曲。最近クラブに行っていなかったので、ここでガンガン踊らせてもらいました。ロッキングやヒップホップの乗りです。ここで本編が終了しました。

I Pooh / Eleonora mia madre
http://www.youtube.com/watch?v=odUtnptxulE&feature=related

I Pooh / Non Siamo in Pericolo
http://www.youtube.com/watch?v=VlMvjRTTA_w

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 アンコールに応えてイ・プーが再び登場。ParsifalからL'anno, il post e l'ora(1973年)。MCでRobyは相変わらずイタリア語で熱く語り、Redは英語で日本にいる喜びを何度も語っています。続いて名曲、君をこの胸にTanta Voglia Di Leiのイントロが流れると会場が沸きました。イ・プーのファンが初日に歌詞を持ちながら歌っていたので、私も3日目に真似して歌詞を見ながら歌いました。

I Pooh / 君をこの胸にTanta Voglia Di Lei 1971年
http://www.youtube.com/watch?v=Lop6k5YKhhc&feature=related
http://www.youtube.com/watch?v=I_WE29p7Otk&feature=fvwrel
ボーカルのメロディーをオーケストラがさらに歌い上げるClasscal Popの名作。この後、作詞に専念するNegriniのドタバタドラムが、逆にこの曲では届かない恋心を表現し、深い感動を呼ぶ。

I Pooh / Tanta Voglia Di Lei Live
http://www.youtube.com/watch?v=HLLc4GESQyA&feature=related
ついに発見。ライブ映像。



 続いてDammi solo un minuto(1977年最高位4位)ではイタリア人の女性たちが少女時代に帰ったように嬉しそうにウェーブしながら歌っています。イタリアではこんなに近くでイ・プーを見れるのは奇跡でしょう。

 続いてポップスファンもプログレッシブファンも黙らせる超キラー曲Noi due nel mondo e nell'anima(1972年最高位1位)です。コアなファンは歌詞を見ないでも一緒に歌っています。

I Pooh / 愛のルネッサンスNoi due nel mondo e nell'anima
http://www.youtube.com/watch?v=mEsvNn7u94U
ヘッドホンで大音量で聞くと感動的。「太陽にほえろ」の松田優作ではないが、「なんじゃこりゃあ!?」級のオーケストラとシンセサイザーの世界に圧倒される。

I Pooh / Noi due nel mondo e nell'anima
http://www.youtube.com/watch?v=_pg5vf3i0m4&feature=related
テレビ番組Senza Reteでのライブ

 さらにキラー曲連発。捨て曲のないAlessandraからシングルNoi due nel mondo e nell'animaのB面のNascero con te(1972年)。たまらん。

I Pooh / 初めての恋人Nascero con te
http://www.youtube.com/watch?v=xPNhDWhGIiM
夢見るようなボーカルとオーケストラの絶妙なハーモニー。驚異的な超ハイトーンを真似して唄って2日目は喉が炎症を起こした。「これは歌わにゃ損だ」と歌詞カードを見ながら3日目は必死に歌った。

La prima volta  l'amore proprio qui
in casa mia  senza quasi conoscerti
poi domandarti  chi sei  
non lo so nascerò fra un minuto con te



 そして、Tanta Voglia Di Leiに続いてヒットし、イ・プーの人気を決定的にしたPensiero(1971年最高位2位)は、ひたすら韻を踏む歌詞で、初来日なのにファンたちもお約束のように一緒に歌います。

Pooh / Pensiero
http://www.youtube.com/watch?v=3suy_oCNOK4&feature=related

最後はChi fermer la musica(1981年最高位3位)で盛り上がって終わりました。2日目がイ・プーたちも一番感動していたように見えました。3日目にはRedが「イタリアに帰りたくない。また来日するから来てください」と言っていました。

Pooh / Chi fermer la musica
http://www.youtube.com/watch?v=wDVgM3Yg0Mc



 最後はPierreの1節か??と思われる余韻の残る美しいメロディーがくり返し流れ、3日間の感動のライブは終わりました。
  次回来日は、是非オーケストラ付でお願いします。

Pooh / Pierre
http://www.youtube.com/watch?v=G0_Cl6Mq8r4&feature=related
 → ※ ×Pierreではなく、○DOVE COMINCIA IL SOLEのオーケストラバージョンと判明。てっきり全盛期の作品かと思い込んでいた。65歳を過ぎてこんな美しいメロディーを創造できるRobyに脱帽です。

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I Pooh TシャツとI Pooh ブレスレット 
サイン入り色紙は残念ながら抽選でハズレ。ハズレ券だけ記念に持って帰りました。



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