2009年07月18日

〜嗚呼モーニング娘〜 泣けるメロトロン イタリアからベトナムへ  今日の1曲 <95> Gens <96> Le Orme

P1010045.JPG
左:メロトロンのサンプラーSample tron
右上:Le Orme / Breve Immagine歌詞(クリックすると拡大します)
右下:Gens / Anche un fiore lo sa シングル盤


<95> ジェンス Gens / Anche un fiore lo sa 1972年 イタリア
<96> レ・オルメLe Orme / Breve Immagine 1972年 イタリア


〜 嗚呼モーニング娘 〜


  先週,渋谷のCamelotに行ったら,なんと元モーニング娘のMaki Gotohゴマキ姫がゲストとのこと。
  中に入ると,ゴマキのオタクさんがDJブースの前に石垣のように張り付いています。
  オタクたちは大音量のスピーカーの前で微動だにしません。
  いつも会うダンサーの人と「今日はすごいことになってますねえ」と話しました。
  ゴマキは1:30の出演とのことで終電に間に合いません。クヤシイ。
  自分もオタクの輪の中に入り,最前列でゴマキのシャワーを浴びたかった。

Camelot HP
http://www.clubcamelot.jp/modules/tinyd10/



〜 泣けるメロトロン イタリアからベトナムへ 〜
Mellotron from Italy to Vietnam


  最近「泣ける歌」というテレビ番組がありました。
  その歌にまつわる隠されたエピソードなどを聞くと,改めてその歌の素晴らしさがわかることがあります。
  ビートルズBeatlesなどもシンプルな歌詞でありながら実は奥が深かったりします。

  しかし,そのような秘話なしでも音を聴くだけで泣けてくるものもあります。
  先日,久々に音楽を聴いて涙が出てきました。泣くのはおばあちゃんの葬式以来だなあと思いつつ。
  それは,30年以上前に流行したメロトロンMellotronという当時数百万円した伝説の楽器の音です。

  私にとっては長年の憧れの楽器でした。 
  パソコンで作曲しているのですが,先月メロトロンMellotronのサンプラーであるSample tronというソフトを導入しました。
  さっそく自分の作った曲でメロトロンを使用してみました。
  「うう〜〜〜これだ〜〜 この音だ〜」私は感極まって涙してしまいました。
  

  1964年頃に発売されたメロトロン。
  この楽器の仕組みが驚き。
  鍵盤を押すと中にテープレコーダーが仕込まれていて,テープが鳴るようになっているんです。
  40の鍵盤があるとすると,40台のテープレコーダーが中に入っているわけです。そのテープは,生のオーケストラや合唱団のコーラスなどをキーごとに録音したもの。
  「メロトロンのおかげで我々の仕事がなくなる恐れがある」と訴訟を起こされたこともあります。

  この当初はオーケストラなどの代用品として開発されたメロトロンが脚光を浴びた時期がありました。
  特に代表的なのが1969年にデビューしたキング・クリムゾンKing Crimson。
  もっとも有名なのはビートルズのAbbey Roadを抜いて1位になった1stアルバム「クリムゾン・キングの宮殿」です。
  しかし,よりメロトロン・ファンから世界的に人気があるのは、2ndアルバムの「ポセイドンのめざめIn the wake of Poseidon」です。ここで聴かれるメロトロンの憂愁の音は比類なきものがあります。

  前々回のブログのマイケル・ジャクソン追悼でも紹介しました。




  メロトロンは,テープを作動させるため立ち上がりが遅いこと,録音した音を再生させるという特性から独特の音色が生じます。
  特にストリングスの音には,その掠れた音からまるで死者を悼み,すすり泣くような響きがあります。
  また,コーラスの音は,この世のものとは思えない天上の神々の混声合唱のように聞こえてきます。

  メロトロンを使用した傑作は,1970年代初頭に急激にヨーロッパを中心に現れ,1975年を境に消えていきます。
  音楽学校の先生に,1974年当時メロトロンを使用した幻の作品を残した人がいました。そのLPは数万円のプレミアがついています。先生は30年以上前の自分のレコードへのすごい評価を知らず,自分も持っていないと言って驚いていました。
  先生は「ベトナム戦争に行ったことがある。自分の世代は海で溺れている人がいたら飛び込んで助けた」とも言われていました。

  今,世界で民族紛争が起きたり,爆弾が落とされても,そのような現実は国家によって隠されたり,情報操作されています。
  しかし,ベトナム戦争Vietnam Warのときは,ベトナム市民に爆弾が落とされるような映像が連日流されていました。そんな戦争は世界史上ベトナム戦争だけでしょう。世界中で「ベトナム反戦運動」が起き,学生が火炎瓶を投げたりしました。ところが、ベトナム戦争は泥沼化して収拾がつかず出口が見えなくなります。

  特に隣人愛を基本とするヨーロッパのキリスト教徒にとって「ベトナム戦争」はこの世の地獄に映ったのではないでしょうか。時を同じくして,メロトロンを使用したロックの傑作がヨーロッパで多数生まれます。
  なき咽ぶようなメロトロン・ストリングスはベトナム市民への鎮魂であり,天上のメロトロン・コーラスは「ベトナム戦争」という地獄からの逃避だったのではないかと思えます。

  アメリカの歴史的なベトナム反戦などを謳った「Woodstock音楽祭」は1969年でした。
  イタリアの“1969年”は,1972年のキリスト教本山のRomaで開かれた最大のロック・フェスティバルVilla Pamphili音楽祭でした。これに参加したバンドのひとつIL Paese di balocchiのメンバーは,音楽制作時の社会背景には「ベトナム戦争」に対する悲観的な展望があったと述べています。

  1975年に「ベトナム戦争」が終わると,メロトロンは潮を引いたように衰退します。
  1975年のイギリスのKestrelを最後にメロトロンを使用した名作は個人的にはないと思います。
  音楽学校の先生も,今はあの頃のように重い時代ではなくなったと言っていました。
  私は先生に「メロトロンは死んでいったベトナムの人たちへの鎮魂であって,1975年にベトナム戦争が終わったときに使命を果たしたのではないでしょうか?」と聞くと,「大きく出たね。…じゃあ,自分の(1974年の作品)はそれに間に合ったということか・・・」と言われていました。

  
  1970年代のイタリアでのメロトロンを使用した作品は奇跡ともいえるほど傑作ばかりなのですが,今回は歌をベースにした作品を2つ紹介します。
  

ジェンス Gens / Anche un fiore lo sa 1972年 イタリア
http://www.youtube.com/watch?v=3lDa1fzNFYo
  ヘッドホンで聴いてみてください。
  始めからメロトロンMK2(今、世界に数台しかない)のストリングスが全開。
  単なる歌の伴奏を超え,1:38, 2:55ではメロトロンが主役になる。
メロトロン入り歌ものの傑作Ciro Dammiccoと並ぶ,あるいは凌駕する名曲。
  唸るムーグ・シンセサイザーも素晴らしい。「花にもわかる」?というようなタイトル。



レ・オルメLe Orme / Breve Immagine 1972年 イタリア
http://www.youtube.com/watch?v=MpKtTNYjq-I
  1970年代に多数の名作を残したレ・オルメの数少ないメロトロン使用曲。
  0:48から夢見るようなメロトロンのストリングスが拡がる。エンディングも美しい。「短い映像」?といった意味。イタリア人でもレ・オルメの詩は難解とのこと。
  同じPhillipsレーベルから1972年に発売されているので,Gensと同じメロトロンを使用したものと推測されます。
  Breve ImagineがB面1曲目に収録されたLe OrmeのLP Uomo di pezzaは1972年にイタリアで2週間1位になっています。全曲捨て曲のない名盤。





最後に,おまけとしてメロトロンの驚きのテープ交換の映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=eR6D1ZH2CMk&feature=fvw
はじめストリングスの音が,コーラスの音に変わります。


posted by カンカン at 22:04| Comment(0) | TrackBack(1) | メロトロン Mellotron  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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