2008年11月10日

人間失格・津軽 反則U 今日の1曲 <番外編 其の1> 吉幾三 (+ 押切もえ、<35> マイケル・ジャクソン Michael Jackson、宇多田ヒカルHikaru Utada、<36> キング・クリムゾン King Crimson)

P1010051.JPG
1997年,当時高校2年生のカリスマ・モデル押切もえ(雑誌「EGG」)と,
当時からの彼女の愛読書・太宰治「人間失格」「津軽」


<番外編 其の1> (今回の主役) 吉幾三 / 俺ら東京さ行ぐだ 1985年
(吉幾三 作詞・作曲)

     さらに,今回は

   押切もえ / 幻のデビュー曲 (記録なし)

<35> マイケル・ジャクソンMichael Jackson / ビリージーン Billie Jean 1982年
<36> キング・クリムゾン KING CRIMSON / クリムゾンキングの宮殿In the Court of the Crimson King 1969年

  寒くなってまいりました。どうかお気をつけください。
  今日は、12月の寒さとのことで、私もあやうく風邪をひきそうになりました。

  今回、お送りする「番外編 其の1」は、心を暖める1曲です。

  「ダンシング・クイーン」特集のV以降は、不定期になりますが、イタリア、アメリカ、フランス、日本の素敵なクイーンを予定しております。

  いつもお読みいただきありがとうございます。
  今回も7000字近くになってしまいました。
  お時間のあるときにお読みいただければ幸いです。




− 「反則」および 「今日の1曲 <番外編> 」について  −


  最近、タイガーマスク(10月1日 今日の1曲 <21>)にすっかり勇気づけられました。また、「反則」の意味、その奥の深さ、原則には例外があることを改めて教えられました。
  
  タイガーマスクは、かつて自分が暮らしていた孤児院「ちびっこハウス」のこどもたちに正しく生きる道を教えるため「反則」を封印し、正統派レスラーになりました。

  しかし,@地上最大の悪役であり2000種類の反則技を持つ「赤き死の仮面」,そして、Aトラの穴の総帥「タイガー・ザ・グレート」の「反則」攻撃という最大の巨悪を倒すために,タイガーマスクは、2回だけ自らの意思で「反則」の封印を解きました。
  タイガーマスクは、あくまでも正統派レスラーとしての原則を貫こうとし、「正義」という絶対的な目的のために、例外的に「反則」を用いたのです。このタイガーマスクの「反則」は実質的違法性阻却事由に該当すると言えるのではないでしょうか。
  
  最終回の最後に、タイガーマスク=伊達直人は、「俺はグレートを倒すために反則で立ち向かった。だが、子供たちには分かってもらえると思う。俺の命懸けのファイトを! 悪に立ち向かう人間の勇気を、きっと分かってくれたと思う!」 そう言って飛行機で日本を去っていきます。

  またタイガーマスクの話になって恐縮です。
  いったいこれは何のブログなのか? Italian Popsは? Renzo Zenobiは何処へ行ったのか? そう思われるかもしれません。

  正直,ブログを書いていて行き詰まること、もう止めたいと思うことも多かったのです。

  そんなとき,固定観念を捨てること,「反則」で乗り切るというヒントをタイガーマスクから得ました。

  たしかに,相手のあるスポーツの場合,原則としてルールに従わなければ面白くありません。「反則」ばかりでは試合にならないからです。
  
  しかし,自分を表現するためのストリートダンスや,ブログ・日記のようなものは,本質的に自分に向かって行うものですので,自由に「反則」をしたほうが自分を解放できます。ブログでもいろいろな「反則」を試すようになってから、自由な心で向かえるようになりました。


  今日の1曲 <番外編> もそんな反則技の一つです。


  <番外編>では、本ブログの「美しいメロディーとリズムのある音楽」という趣旨から若干離れるため、本編から外れるものの、私が心底から愛して止まない音楽、熱い音楽を紹介して行きます。

  <番外編>では…

  豊饒なる精神,ユーモアによって生きる力と勇気を与えてくれるもの、
  
  ときには、「おまえの人生はそれでよいのか!」と我々に落第通知をたたきつけ叱咤激励してくれるもの、
  
  果ては、タイガーマスクに出てくる怪人レスラーのように悪役でありながらも魅力的なキャラクター

  …等々が登場いたします。

  
  今後も、ゲリラ的にお届けする「今日の1曲 <番外編>」にどうぞご期待下さい。








− 「人間失格」 太宰治の遺志を継いだ男「吉幾三」 −


  さて,<番外編> 第1回にご紹介する吉幾三は、作家・太宰 治と同じく青森県北津軽郡金木町(現在の五所川原市)出身の演歌シンガーソングライターです。

  吉幾三 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E5%B9%BE%E4%B8%89


  吉幾三は,1977年の「俺はぜったい!プレスリー」の後の長い低迷期を経て,1984年「俺ら東京さ行ぐだ」において決死の勝負に出ました。


  百聞は一見にしかず。

  まずは、「吉幾三 / 俺ら東京さ行ぐだ」ライブのYoutubeをご覧ください。

  私が太宰 治の後継者と信じ,リスぺクトする天才吉幾三のこの曲を見て、聴いて、そして感じてください。
  今,J-RAPの先駆者として再評価の機運高まる曲です。
  
  
  吉幾三 / 俺ら東京さ行ぐだ  TV「ベストテン」より,今週の第8位 1985年
         ↓
http://jp.youtube.com/watch?v=c6YexwJU_wk&NR=1
  以下、熱くなりすぎて,冗長な解説になりましたことをお許し下さい。
  私の駄文を読む前に映像をぜひ先にご覧ください。

  0:00 吉幾三は本質的にシャイな人だ。だから吉は「俺ら東京さ行ぐだ」ではサングラスをかけていた。アナウンサーはこの点について「サングラスをしないと眩しいような銀座…」と吉をさりげなくフォローしている。戦士の心を見抜いた優しい気遣い。さすがTBSのアナ! 私はTBSの入社試験を1次で落とされたのです。 
  0:04 東京は銀座のど真ん中、6丁目交差点。カメラが鳩居堂、銀座和光を映していく。ここは日本で最も地価が高い超一等地だ。
  0:18 老舗銀座三越の正面玄関である。そこで脚立を使用し、百獣の王ライオンにまたがる吉幾三。吉からの宣戦布告だ! 私は、1982年と1986年に短い期間だが銀座に勤めていた。それゆえ、銀座における吉のこの行為が尋常ならざる決意に基づくことが容易に理解できる。 
  0:52(注)「ベコ」とは方言で牛のこと。なぜ銀座に牛がいるのか?! この曲に賭ける吉、徳間ジャパンの意気込みを感じ取りたい。
  1:00 牛にやさしく触れる吉。力強い同士を得た。 
  1:04 店員にも会釈を忘れない腰の低さが自然に現れている。芸能界で生きていくうえでの必須条件だ。
  1:07 百貨店に生きた牛が入店する歴史的瞬間である。 
  1:20 おもむろにセーターを品定めする余裕。吉は着々と銀座を手中に収めていく。 
  1:32 笑いをこらえていた店員の吉への目が尊敬のまなざしに変わっていく瞬間をとらえている。
  1:40〜1:53 サインを求める女性、それに応え、絶妙のタイミングで握手する演出。計算が行き届いている。 
  1:57 カメラが再び銀座和光、鳩居堂を映す(さきほどとは順番が逆だ。ここも細かい演出である)。 
  2:34 右腕を高らかに上げ、勝利宣言。ついに吉は東京を制覇した・・・。
  しかし,2:38のサングラスを通して見える吉の覚めた瞳と口元をよくみていただきたい。
    ・・・吉は勝利を「演じて」いるだけにすぎない! 
    これは,翌1986年,吉が真の勝利を得るための布石なのだ。
  つくづく恐るべき才能と断言したい。

  若い皆さんいかがでしょうか? 
  「ミュージック・ステーション」のようなTVでは聴けない深い味わいとユーモア、そしてエネルギーがあるでしょう? 
  今の時代に,テレビでここまでやれる人が果たしているでしょうか? 
  誰のために? 
  何のために? 
  たった3分弱の時間に、一人の男の生き様が凝縮されているのです。
 

  太宰 治の絶筆となった小説「人間失格」。
  その「第一の手記」は、「恥の多い生涯を送ってきました」との一文から始まります。
  その中に「自分の、人間に対する最後の求愛」として「必死のお道化のサービスをした」という一節があります。

  吉幾三 が「俺ら東京さ行ぐだ」で見せたパフォーマンス。
  道化師。
  そこから私は,プライドも何もかもを捨てて,太宰 治の後継者になるべく「人間失格」を体現せんとする彼の強い決意が感じられるのです。
  
  東京は、津軽金木町の同郷の先輩太宰が自ら最後に死を選んだ場所。
  吉は、「俺ら東京さ行ぐだ」で道化師の仮面をつけて、まず「正統派演歌歌手・吉幾三」の死に様を衆目にさらした。
  太宰は、死に場所として玉川上水を、吉は、銀座を選んだのです。 





− 太宰治に魅せられたカリスマモデル・押切もえ −
 

  少し横道にそれますが,カリスマモデル・押切もえチャンを私は無名の女子高生時代から応援していました。

  当時彼女は歌手志望であり,その挑戦する姿が,カリスマ女子高生としてテレビで放送されました。彼女は当時から光るものがあった。私は偶然そのテレビを見て彼女のファンになりました。

  幻のDisco専門誌「ヘブンズドア」を購読していた私は、「ヘブンズドア」廃刊の続きとして予告,創刊されたギャル雑誌Eggの創刊号からいくつかを持っています。
  ちなみに「ヘブンズドア」の前身は、暴走族専門ファッション雑誌。今は、もう都内では暴走族は壊滅状態のようですが。 

  Eggでの押切もえはすでにスターでした。
  その彼女の当時からの愛読書が太宰の「人間失格」であり「津軽」であることを知り,以来ずっと彼女についていこうと決めました。
  身障者の人と42キロマラソンを敢行したり,彼女は偉い! 

  押切もえの歌手デビューは,結局,幻に終わったようでした。

  
    押切もえ / 幻のデビュー曲  (音源なし)


  あまりにも早く走りすぎてきた押切もえの肌は、もうすでに老化が始まっている。恋人宣言もした。
  さらに最近は、ヤンキー女子高生時代のYoutube映像流出が物議を醸し、現在の彼女とのイメージの違いの大きさに,ファン離れが起きている。
  しかし、そのギャップがいいのだ。
  私が高校時代、前の席にコワ〜イ留年生がいて1年で2、3回しか会話できなかった。その人の指はタバコの吸い過ぎでいつも震えていた。その同じ人物が今、国会議員として涙を誘うような仕事に取り組んでいる。

  私は押切もえを応援することを止めない。
  皆が君を見捨てても、俺がついている! …そのときは俺の所へ来い… 
な〜んて絶対無理ってか? はい、そうですか…別にいいんですよ、もう。

  押切もえは、最近、太宰治の世界をたどるDVDを発表しました。






− そして吉幾三に魅せられたDJ,出現する −


  さらに、無謀にもその偉大なる吉幾三に対して,「反則」の大技を連発する業師DJが出現しました。是非,お聴きください。
  彼もまた吉幾三という才能に魅せられたからこそできる所業でしょう。
 
  まずは,「俺ら東京さ行ぐだ」とダンス・クラシックとの共作をどうぞ。

  吉幾三 IKUZO × マイケル・ジャクソンMichael Jackson / BILLY JEAN
http://jp.youtube.com/watch?v=fQ7vUNlPF4s&feature=related
  世界で1億枚売れたメガヒット「スリラー」1982年からの大ヒットシングルをアレンジ。

<35>(原曲)マイケル・ジャクソンMichael Jackson / ビリージーン Billie Jean
http://jp.youtube.com/watch?v=Dzp0JETG0Pw
  説明不要のダンスクラシック。1982年当時,それまで「黒人のSoulは熱いもの」というイメージがあったが,歩くような淡々としたリズムが本当に斬新だった。
  そのリズムの上に,マイケル・ジャクソンは奇跡のようなステップで自在に絵を描いていく。驚きの連続であった。


  ほとんどの曲がシングルカットされた驚異の大傑作、マイケル・ジャクソン「スリラー」 
  黒人音楽に興味のある人はマスト!


  では次。 宇多田ヒカルとの共演。

  クラブに行っていると最近のダンスチューンは同じような曲ばかりだ。
  DJさん、こんなのかけてはどうですか。
吉幾三  × 宇多田ヒカル   おらTravelingさ行ぐだ IKZO
http://jp.youtube.com/watch?v=qe1nm8djs2g&feature=related
  これは踊れる。3:17が衝撃的ですね。


  さらに,「俺ら東京さ行ぐだ」とクラシックとの出会い。
 
  吉幾三+フィルハーモニー交響楽団です。
http://jp.youtube.com/watch?v=H0LT6ilt5I8&feature=related





− 「津軽」 道化師の仮面を剥いだ吉幾三 名曲「雪国」−


  しかし、「俺ら東京さ行ぐだ」の翌1986年、間髪を入れずに吉幾三は道化師の仮面をとる。
  
  そして仮面の下に隠されていた素顔が、「正統派演歌歌手・吉幾三」であることを告白するのである。
  極悪レスラー「イエローデビル」のマスクの下に、母と妹を思う純朴な青年・高岡拳太郎の素顔が隠されていたように。(毎度すみません。またタイガーマスクの話です。http://www4.airnet.ne.jp/pancra/tiger/index/anime.html 「エピソードガイド」 第73話・第74話ご参照)

  吉は、東京から一転、故郷「津軽」に目を向ける。
  そこは「雪国」であった。
  
  道化師の仮面を剥ぎ、名曲「雪国」で、吉は1986年大晦日の紅白歌合戦に出場。
  吉はついに「正統派演歌歌手」として日本を制覇した。
  ここにおいて吉は,初めて真の勝利を得たのです。

  吉幾三 / 「雪国」 1986年紅白 吉幾三ついに日本を制す。
http://jp.youtube.com/watch?v=CvSKajhoSLA&feature=related


  ここで、吉幾三の「雪国」と、キング・クリムゾンKING CRIMSONとの華麗なる競演をお届けします。

  キング・クリムゾンは,5大プログレッシブ・ロックのバンドに数えられるグループ。
  その1stアルバムのラストを飾る「クリムゾンキングの宮殿」は,クラシカル・プログレッシブ・ロック(10月12日 今日の1曲 <24> ご参照)の5本の指に入る名曲です。

YOSHI IKUZO + キング・クリムゾン KING CRIMSON
http://jp.youtube.com/watch?v=OiBAU7-Rwz8
  クラシカル・プログレッシブ・ロックの歴史的名曲にもひけをとらない「雪国」。吉幾三がいかに情感豊かな作曲家であるかを証明していると思います。


<36>(原曲)キング・クリムゾン KING CRIMSON / クリムゾンキングの宮殿In the Court of the Crimson King
http://jp.youtube.com/watch?v=p4c5lY_5NNU 
  ビートルズのLP「アビーロード」を1位から叩き落した歴史的名盤「クリムゾンキングの宮殿」のタイトル曲。



  マイケル・ジャクソン「スリラー」と同様、全曲、捨て曲なし。偉大なる芸術。
  プログレッシブ・ロックに関心のある人はマスト。


  ただ、私は思う。
  もし吉幾三 が仮に初めから「雪国」で勝負したとしたら、このような成功を得られたであろうか?

  たしかに「雪国」は良い曲だ。
  
  しかし,私は「雪国」だけでは,吉は成功を得られなかったと思う。知る人ぞ知る「演歌の名曲」で終わっていたのではないか。

  @吉が,太宰治の残した遺作「人間失格」の精神を継承し,「俺ら東京さ行ぐだ」において道化の仮面を演じたこと。
  A吉の決意に共鳴した徳間ジャパンのスタッフの献身的な協力(吉は今日まで一貫して徳間ジャパンに所属している)。
  B吉の「俺ら東京さ行ぐだ」における不退転の行為によって感銘を受け,耕された芸能界という土壌。

  これらの布石と努力があって初めて,吉は「雪国」で成功を遂げたと思うのです。

  私は、「俺ら東京さ行ぐだ」において「人格」の死=「人間失格」を演じた男が、故郷「津軽」=「雪国」で不死鳥のように「人格」を蘇生させるのを見たのです。



−  俺らも「東京さ行ぐだ!」 − 


  渋谷、銀座、池袋、新宿、六本木、浅草,高田馬場,霞ヶ関、新橋…私の人生の中で、東京には、幾多の喜びも有れば、数え切れないほどの絶望もありました。
  そしていつしか、年月とともに感動は薄れていきました。

  そんな私を「俺ら東京さ行ぐだ」は叱咤し、力と勇気を与えてくれる。
  「君は、本気で死ぬ覚悟で東京と戦ったことがあるのか?」
  「もう一度,東京で生きてみよ!」と。 

  「東京」、それは人によっては、大阪であり、山形であり、大船渡であり、博多であるのかもしれません。


  私にも、今月、大きな戦いが待っています。

  「俺ら東京さ行ぐだ」の気概をもって戦いに立ち向かいたい、そう思うのです。


  最後に、「吉幾三 / 俺ら東京さ行ぐだ」の強力な別Remix Versionをお届けして、
<番外編其の1> の締めとさせていただきます。
http://jp.youtube.com/watch?v=wQ2zeulYjnI&feature=related
  ベース・ドラムスの低音のグルーブが唸りを上げて炸裂するファンク・ヴァージョンです。


  今回も最後までお読みいただきありがとうございました。






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