2008年10月31日

渋谷Womb 天井桟敷T 反則T 今日の1曲 <32>  Nu Yorican Soul  (+ 寺山修司、カルメン・マキ)

32  Nu Yorican Soul / The Nervous Track  1993年
         さらに
カルメン・マキ / 時には母のない子のように (詞 寺山修司 / 曲 田中未知) 1969年
 
寺山修司(作) / 空を歩こう(ラジオドラマ「中村一郎」より) 1959年


P1010058.JPG
The Nervous Track 12“ シングルと 「15歳天井桟敷物語」の内表紙,1970年ころの劇団「天井桟敷」


  すみません。今回も予定を大幅に超過して,1万字になってしまいました。
  お時間のあるときにお読みください。

  
  まずはこの曲から。
  アンダーグラウンドな魅力を保ちつつ、ダンスチャートのNo.1ヒットになったHOUSEの名曲です。踊れます。
  Nu Yorican Soul / The Nervous Track
       ↓
http://jp.youtube.com/watch?v=zRoIuEe6Bbs




−  渋谷Womb  −


  Wombも渋谷のクラブです。

Wombのホームページ
http://www.womb.co.jp/

  8月27日、30日の日記でも紹介しましたが、8月24日Wombが私の渋谷のクラブデビューの場所になりました。
  場所がわかりづらい。ホテルに包囲されている。看板も何もなく、ベニヤ板のような入り口。初めて行ったとき、前を2〜3回往復しました。

 このクラブが集中するホテル街に行くのは、Ash Ra Tempel(8月30日 今日の1曲 <18> )の公演以来11年ぶり。
  駅から離れてるし,一般の人は行きにくい。バブル以前の六本木のディスコブームのようにはなりにくいでしょうね。あの頃は、平日でも午後8時には、どこのディスコも若者で大盛況でした。



−  寺山修司と幻の劇団「天井桟敷」 −



  Wombには、かつて演劇実験室「天井桟敷」のアトリエがあったらしい。

  「天井桟敷」は,渋谷で約40年前に結成された伝説の演劇集団です。
 主催者は寺山修司。その業績は、私のブログなどではとても語り尽くせない。
 

 寺山修司 wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BA%E5%B1%B1%E4%BF%AE%E5%8F%B8

 なお、8月18日のブログ「今日の1曲 <14> あしたのジョー」の日本版主題曲の作詞も寺山修司。


  天井桟敷 wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A9%E4%BA%95%E6%A1%9F%E6%95%B7_(%E5%8A%87%E5%9B%A3)

  「天井桟敷」と言っても,若い人には「?」でしょうね。
  みなさんが産まれる前に解散している存在ですから。


  若い人向けに「天井桟敷」の特徴@Aを簡単に説明すると,

@ ファッション的に言うと,「天井桟敷」の団員は、今の渋谷のロンゲ、スキンヘッド,ヤマンバギャル(日焼けはしてないが)、家出少年などの元祖。かと思うとモデル級の美女もいた。
  今は若い人にもブレイクしている美輪明宏も初期の公演で出演したことがある。

  ここで「天井桟敷」の団員から生まれた最大のヒット曲を。
  紅白歌合戦にも出場しました。
  
  カルメン・マキ / 時には母のない子のように (詞 寺山修司 / 曲 田中未知) 1969年
         ↓
http://jp.youtube.com/watch?v=A182itafpNg&feature=related
  ちなみに、この曲は、当時イタリアでも発売されています。




A 「天井桟敷」の演劇の特徴は,それ以前の演劇に対する挑戦。
  いうなれば既成のルールに対する「反則」攻撃。ベトナム戦争反対運動など当時の世相を反映していた。海外でより高い評価を受け、多くの賞を受けた。
  「反則」攻撃は,やはり同時代のプロレスや,タイガーマスクにも通じるものがある。
  私は「天井桟敷」の公演を渋谷にあった小劇場「ジャンジャン」で1回だけ見た。
  やはり「客いじり」という「反則」技を使っていた。
  「天井桟敷」の公演の中でも1971年渋谷公会堂の「邪宗門」は,タイガーマスクの最終回と並ぶ「大反則」の金字塔です。 
 


  高橋咲 「15歳天井桟敷物語」
 
  元団員による実録?青春小説。
  自分が当時の「天井桟敷」の団員であるかのような体験ができる。1971年渋谷公会堂の「邪宗門」の経過も詳述。特に、若くて演劇に興味のある人にお勧め。
  ただ,あまりに特異な十代の体験のため,一般的な青春時代を送った人には共感できる部分は少ないかもしれない。
  「さようなら寺山さん さようなら天井桟敷」という最後の一節が胸を打つ。
  寺山修司が一番喜んでいるのではないか。
  読書家モデルの押切もえあたりに読んでみてもらいたい。
 


  寺山修司については,個人的には,天井桟敷を旗上げするまでの初期の時代が好きです。初期のラジオ放送用の戯曲、詩集には彼の理想がわかりやすく描かれていた。
  「天井桟敷」の演劇については難解だし,親子の問題とかドロドロし過ぎて正直のところ私は苦手だ。1970年前後という時代が「天井桟敷」を要請していたのだろう。
  
  話は変わりますが,学生時代,頭の悪い私には,マルクスの「資本論」も難解で全然意味がわからなかった。結局,共産主義が崩壊したことで,時代は「資本論」が不要であることを証明してしまった。  しかし,初期のマルクス・エンゲルスが描いた貧しい人を助けたいという理想のようなものは現代でも通じると思うのです。 

  劇団「天井桟敷」の時代で好きなのは、寺山修司によって触発されたJA・シーザーの作曲した音楽と演劇とのからみ。好きなメロディーのところだけ聴いている。
  「邪宗門」も最後の5分間のクライマックスのパートだけ何百回と聴いた。
  「邪宗門」やJA・シーザーについては別の機会に。
  




−  Womb  10月19日 お恥ずかしいクラブ日記  −


  Wombは「子宮」という意味。
  そう言われると,いかにもアングラな天井桟敷らしいネーミング。

  
  8月24日の日記 House「Pangea」の日
  
  閉店した六本木Velfarre以来,1年8ヶ月ぶりのクラブだった。
  直前,2,3回ジョギングで調整した。
  
  午後3時頃入る。ほとんど人がいない。一人で2時間踊る。
  「2時間ノルマ。曲ごとにステップを変更」が目標だったが,体力が続かない。これほど体力が落ちているとは…ショック。 6時退場。へとへとになりながら,雨の中を帰る。

  
  8月31日の日記 「House Nation」の日
  
  午後5時頃入場。初め誰も踊ってなかった。
  そこに、フロアーで堂々とストレッチをするHouseの偉大なるダンサーが突如出現。踊る阿呆の私も俄然やる気が出て2時間踊る。
  疲れたので3階で座って休む。首だけ動かして、1時間半、首のダンスをしていたら女の子がずっと見ていた。首のアイソレーションは、9ヶ月間ダンススクールで大先生に鍛えられたのだ。
  また,ダンスフロアーに出た。フロアーは満員だ。
  ギャング風ファッションのおにいさん,元チーマーらしき軍団,ギャル,本当にただのおばさん,秋葉系オタク,70歳位のリズミカルなおじいさん,女性のDJさん,長谷川潤という一番人気のモデルさんなど,人間観察には最高の楽しい日だった。
  タイガーマスクの目をした若者を一人発見したのが最も印象に残った。



  そして,10月19日
 
  2ヶ月ぶりにHouseイベント「Pangea」

  8月24日に体力切れになった雪辱を果たすべく,2ヶ月のトレーニングの成果を試す日が来た。

  渋谷に到着。「渋谷109」で音楽を聴いてウォーミングアップ。

  まず,フライヤー(クラブのチラシ)を取りにレコード店へ。
  クラブ「Harlem」は,フライヤーがあれば,なにしろ3000円が1000円になるらしい。宇田川町へ。30年以上前からあったCISCOが無くなっていた。
  DMRもManhattan Recordも 客が少ない。どうしたんだろう。
  10年前みたいに吉野家近辺にB−Boy君たちがたむろしていないぞ。
  クラブミュージックは大丈夫なのか? 心配になる。
  Wombの場合,事前にフライヤーをPCで印刷していくと500円引きになるのです。
  
  
  コンビニで買った缶チューハイをあおって戦闘準備。

  8月に行ったときは,午後6時でも客15人くらいだったので,今回もガラガラのフロアーを想定していました。 
  Wombが,「反則」芸術の殿堂「天井桟敷」の跡地と聞いて,やる気も充分。
  
  モダンダンスやストリートダンスは,過去の伝統的なダンスの禁じ手を使ったもの。
  言ってみれば「反則」芸術の歴史なのです。
  
  芸術の秋だ。前日までイメージトレーニングした様々な「反則」ダンスを,広いフロアーで試すときがきたと決意を固める。

  
  4時入店。トイレで,ベルトを派手なものに着替える。昔から,この着替えの時間が一番わくわくするとき。
  フロアーに行くと,予想に反して客が結構いる。
  これはマズイ。予定の「反則」ダンスはできない。
  普通のHouse等のステップに変更。

  
  2時間踊って疲れた。そこにノイズの嵐が… 
  「裸のラリーズか!」 思わず耳をふさぐ。

  若い方すいません。
  「裸のラリーズ」とは,京都で「天井桟敷」と同じく1967年に結成され,一部から熱狂的なリスペクトを受けていた伝説のロックバンドです。
  ジェット機のエンジンの中にいるような轟音ギターは,ロックのひとつの極限。
  凄いステージで,私もファンだった。
  4回以上コンサートに行ったのは「裸のラリーズ」と山口冨士夫だけ。
  「裸の」とはいっても男性ストリップではありません。そういえば,昔六本木に,外人日本人混成男性ストリップ「Jメンズクラブ」があったと聞いたが,もうなくなったのだろうか。 
 
  裸のラリーズ Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A3%B8%E3%81%AE%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA

  ノイズの嵐に耳をふさいで踊る。周りは楽しそうに叫んでいる。私が年をとったということか。裸のラリーズの水谷孝が10年前に活動を停止した理由は謎だが,単純に自分自身がもうノイズという音楽に楽しめなくなったからではないか。そんな気がした。
  裸のラリーズの思い出は別の機会に。

  
  6時半,4Fの奥のソファで休む。隣の女の子たちが,UFOの話をしているようだ。
  やっぱり天井桟敷っぽい。
  7時,「もう帰ろうかなあ…でも2000円も払ったし。」考えがせこい。
  ATOMなどのHappyTime入場料1000円に慣れると高く感じる。


  「もう少し,踊ろう〜〜」と決めてフロアーへ。
  ここには,ギャル、ギャル男くんは見たところ一人もいない。
  同じ渋谷なのに、店やイベントで全然客層が違うのだ。
  昔の六本木は,どこへ行ってもだいたい同じ客層だったのに。

  だいぶ混んできた。人の足を踏んでしまうので,ステップが思うようにできない。 
  そこで手を使う比重を増やす。こういうときに備えて腕立て伏せをしてきたのだ。
  手も絵を描くように使うとダンスは楽しい。
  スピードもターボエンジンに切り替えて速く動かす。


  突然背中にタックルを受ける。

  振り返ると、ひげの男が「ワオー」と嬌声をあげて,抱きついてきた。
  「オイオイどうしたんだ?! 俺はゲイじゃないが何だか嬉しいぞ。」
  思わず握手しました。
  Camelotでは初めて握手されたが,26年踊っていて今度は初めて男に抱きつかれた。大昔,チークタイムで見知らぬ女の子と踊ったことはあったけど。

  ひげの男は,最前列でワーワー騒いで踊り狂っている集団の団長さんらしい。 
  「そうか。俺のダンスを気に入ってくれたのか! ほんなら、ガンガンやったるでえ〜」とやるきが出る。正直のところ,女の子が抱きついてくれたらもっと嬉しいのだが。

  グループやカップルは,男女で抱き合っていたりする。
  「いいなあ〜」と横目で見つつ,粛々とミッションをこなす。
  一人ダンサーに哀しい宿命は多くついてまわる。
  しかし,哀しみをプラスのエネルギーに換えてこそストリートダンスだ。

  また,ひげの団長さんが抱きついてきた。
  「そうか,そんなに俺のことが好きか!? ヨ〜シ、とことん愛し合おうじゃないか。
  といってもダンスでだゾ。」何度も繰り返すが女の子ならもっと嬉しいのだが。


  一休み。ダンスウォッチング。
  今日、200~300人ぐらいいるが,気になるダンサーは一人いた。
  ポッピングPoppingで体をくねらせるのがうまい人。彼はどこかで習っているな。
  ひげの団長さんも、軽快ないいステップで頑張っている。
  今日見た中では2番手。さすがは団長さんだ。

  26年前の自分と同じグッズ(恥ずかしくて言えません)を手につけた女の子を発見。
  なんだか胸がキュンとなり感無量。私は普段は度胸がなくて自分から女の子には声をかけませんが,思わずその子に近づいてハイタッチ。


  ここで「反則」
  
  Wombには前の方に柵がある。柵につかまって遠心力を使ってHouseのリズムでHiphopを踊る。
  さらにレゲエダンス。柵につかまるとレゲエのエロいダンスがやりやすい。
  これも「反則」。
  レゲエダンスはジャマイカの女の子の求愛のダンスなのだ。

  すると,私に近寄ってきて尻をこすり合わせてくるエッチなおねえさんが来た。
  私ごときに逆ナンありがとうございます。誠に申し訳ありませんが,お気持ちだけ嬉しく頂戴いたします。
  ここは,世界で2番目に音がいいと言われたクラブ。
  そのスピーカーの前にいるのだから,おねえさんより音のほうがいいのだ。希望としては,クラブの外で逆ナンしてくれたらいいのだが,それは無理なんでしょうね。


  今度は、みんながやり始めたので,自分も柵によじのぼる。
  
  ここなら鳥より高く飛べるかもしれない。
  店員さんが着て,柵からみんな降ろされる。
  昔,日本のディスコで最初にできたお立ち台に登って、店員さんに降ろされた。
  このときは店員さんに抵抗した。
  しかし、私もまるくなった。今回は私もおとなしく降伏。



  
  寺山修司の言葉で私が一番好きな言葉がある。

  「どんな鳥だって想像力よりは高く飛ぶことはできない」


  
  図書館で読んだが,わかりやすい寺山修司の入門書。



  しばらくすると,みんながやりはじめたので自分もまた柵によじのぼる。

  「反則」
  しかし,「赤信号みんなで渡れば怖くない。」
  
  柵の上で,Houseに合せてロッキング。手旗信号ではなく,ちゃんと裏のリズムをとってやるのです。以前,ダンススクールで親切な若いロッキングの先生が,私の好きなJames Brownの曲でロッキングの基本を教えてくれたおかげで身に付いた。
 
  柵に乗って,世界で2番目に音がいいスピーカーの前で音を独り占め。
  ダンスは私にとって波乗りと一緒です。スピーカーから出てくる,ドラム,ベース,メロディーなどいろいろな波に体を委ねるのが楽しい。 

  しかし,手のダンスも1時間もやるとデスマッチだ。
  肩が苦しい。中学時代の野球部の地獄の夏合宿を思い出す。もう臨界点だ。
  「なんで踊らなきゃならないんだろう?」そんな気がしてくる。

  スピーカーの前で踊る私をスタッフはクールに無視して通り過ぎていく。
  

  そんなときだった。

  一人の超イケメン君が手拍子で私を下から応援してくれるではないか。
  「そうか、君はわかってくれたか! 俺が音楽が好きでしょうがないのだということを。」 
  顔をよく見ると,私が高校時代に子分のようについてまわった亡くなったKさんとほとんど同じ顔だ! 思わず、柵を降りてお辞儀をした。
  Kさんは死ぬまで音楽家として頑張ったのだ。

  
  Kさん似のイケメン君の応援のおかげで,私には「タイガーマスク」のある光景がよみがえった。(またタイガーマスクかよと,どうか思わないでください)

  「平成虎の穴」ホームページ
  「エピソードガイド」の「第6話」を読んでいただきたい。
http://www4.airnet.ne.jp/pancra/tiger/index/anime.html
  私は「俺を応援してくれる声……初めてだ!」のシーンを思い出して,勇気百倍を得た。

  You tube「タイガーマスク」イタリア語版「第6話」
  あっ、格闘技が苦手な方は見ないでくださいね。
http://www.youtube.com/watch?v=nfZiCo1Kf48
  5:34「負けるなタイガー!」のシーン。  6:53 健太登場〜ルリ子によるタイガー説得の場面。「タイガーマスク」で一番有名なシーンのひとつだ。

  「タイガーマスク」日本語版「第6話」
http://dl.rakuten.co.jp/prod/800269288.html




  
  さっきハイタッチをした女の子が例のグッズを持って近づいてきた。また,ハイタッチ。
  私は咄嗟に女の子にグッズを「貸して!」と言った。
  しかし,スピーカーの前なので聞こえないらしい。女の子は笑ってるだけだ。
  あ〜,あのグッズがあれば,あの日一番面白いショーができたのに! 
  今,これを書いていても悔しい。

  
  もう終わりの10時が近づいてきたのでやめることにした。

  柵から降りると,女の子が2人手を振ってくれた。
  長い格闘が報われた気がする。

  でも本当のところ私は,「タイガーマスク」における「赤き死の仮面」のようなダンサーになりたいのだ。

  小学校の頃,「赤き死の仮面」は超悪役でも人気があった。タイガーマスクのビニール人形を集めていた友達の家に行くと,「赤き死の仮面」は必ずあった。
  悪役なのに「赤き」なんて正義っぽいネーミングがまたよい。梶原一騎はエドガー・アラン・ポーの小説からこの名前を考えたらしい。さすが小説家志望。
  
  あまりの凄さに女の子が手を振るどころか、近寄ることもできないようなダンサー。
  「おそるべきダンサーが渋谷,六本木に出現…」な〜んて風にならないかなあと思って私は日夜、筋トレに励んでいるのだ。

  でも,心の中では、どこかで愛されるキャラになりたがっている自分がいる。
  女の子が手を振ってくれて嬉しくなってしまう自分が哀しい。
  昔はもっと、とがっていたのに。
  私は「赤き死の仮面」を目指すには,もう若くないのかもしれない。

  休憩。
  外人さん御一行が横に座っていた。英会話の先生か,旅行の人たちか? 
  なんだか退屈そうだ。
  
  少し休んだ後,最後にサービス。
  今日このクラブで一番速いステップを見せてあげよう。
  しかし26年前のようには速く動かない。
  あのころは,黒人の女の子も白人のモデルさんも,私が腰を速く動かすだけで発狂して絶叫したのだ。つくづく,体力が落ちたものだと思う。

  
  5時間超踊ったが,これで今日はおしまいにしました。



  外へ出ると,ポカリスエットをがぶ飲み。とにかくうまいのです。
  これが楽しくて踊っているようなもの。
  8月24日はホテル街をヨレヨレになって帰ったが,2ヶ月でだいぶ体力が回復したのを実感できて満足。

  しかし,悲惨なことに,ベルトが汗でぼろぼろで,ワイシャツが真っ黒に汚れている。
  
  これで電車に乗るのはつらい姿だ。




− 帰宅 〜 寺山修司作ラジオドラマ「中村一郎」 −

 

  帰ると母が,開口一番,聞いてきた。
  
  「今日のおダンスは,どうでござんしたか?」
  
  「今日? 男に抱きつかれちゃったよ。」 
  女の子じゃなければ自慢にもならない。
  女の子だったら,おばあちゃんや姪っ子たちにも自慢できるのだが。

  母は70歳を過ぎてフラダンスに熱中している。
  父の60年以上のハワイアン病がうつってしまった。

  先週,町内会のお祭りがあって,老人会の6人組で母がフラダンスで出演した。
  もうみんな振りがバラバラだが,楽しそうだ。
  一段高い即席の舞台の上に立って,空を歩くような気持ちなんだろう。
  母から「どうだった?」と聞かれたので「前よりよくなったじゃん」と答えた。



  私の好きな寺山修司の初期のラジオドラマに「中村一郎」という作品がある。
  図書館で読んだ。


  「中村一郎」は,36歳の平凡な保険外交員「中村一郎」が,ひょんなことから空を歩けるようになるというストーリー。彼は一躍英雄となり,マスコミの寵児となる。
  
  しかし,中村一郎は突然,空を歩くことを止めてしまう。
  最後に,彼は子供に向かって,「おじさんは英雄になんかならなくてもいいんだよ。幸福は平凡な毎日の中にしかないんだよ。」という。
  「そうじゃねえな」という子供と一緒に,中村一郎は,英雄の歌「空を歩こう」を歌う。はじめは元気に。だんだん哀しく。

  それだけの話なのだが,「中村一郎は,じつはあなたの中にもいるし,わたしでもあるのです」という言葉を,フラダンスを踊っている母を見ていて思い出した。
  
  初期の寺山作品からは,「ジオノ・飛ばなかった男」「飛びたい」「とびうおの歌」など,必死に飛び立とうとするひとりの才能に溢れた青年の内的な感動を得られるのです。


  寺山修司 / 中村一郎「空を歩こう」





− Wombの翌日 10月20日の日記 −

  Wombで踊った翌日,祖父と祖母の墓の掃除に行きました。
  
  半年前に,祖父の33回忌と祖母の3回忌をしていただいた副住職が,先日突然亡くなった。まだ若い。ショックだった。お寺は祖父と祖母の墓の近くにある。
  副住職は,私の中学の先輩だった。20年ぐらい前から盆になると家に来て,祖母と一緒にお経を聞いた。
  祖母が亡くなったとき,私の家の複雑な事情を話したら,副住職は,家の実情に合うように必死に講話を考えてくださった。祖父の33回忌のときも,祖父の書いた本がどこの図書館に所蔵されているかまで調べていた。
  副住職の死因は,過労による突然死とのことだった。副住職は,私の家だけでなく,どの家についても必死に勉強されていたに違いない。副住職の過労死の一因に我が家のこともあるのだと思うと心からご冥福を祈らざるをえない。



  盆踊りの原形は踊り念仏だといわれます。
  鎮魂、鎮送を目的とする盆踊りにも今後は力を入れていこうと思いました。


  墓掃除のあと,ダンスで汚れたワイシャツをクリーニングに出しました。

  クリーニング屋のおばさんから,「あ〜この汚れは落ちないです〜」と言われた。
  おばあちゃんに買ってもらったいいワイシャツがお釈迦だ。
  100円単位で節約してるのに。ベルトと合わせて数千円の損失だ。トホホ。
  
  昨日,ダンスでお尻をすり寄せてきたおねえさんの服も汚れたかもしれないなあ。
  今頃,おねえさんも「なんで汚れてるのよ」と、ぼやいているかもしれない。
  どうもすいません。
  そんなことを思いつつ帰宅しました。


  
  今回も、お読みいただいてありがとうございました。



 再び Houseの名曲を。
  当時,ラジオのDJもMarvelous(驚異的)な曲と絶賛していました。

  Nu Yorican Soul - The Nervous Track
http://jp.youtube.com/watch?v=zRoIuEe6Bbs  
  トライバルで躍動するポリリズム。House版の踊り念仏ともいえましょう。








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