2010年初来日のステッカーが貼られたSuddanceのCD
今日の1曲
(英語版ドイツ盤では、Away 〜 Gone) 1974年
オザンナ - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%82%B6%E3%83%B3%E3%83%8A
以前から体調不良が伝えられたOsannaのギタリスト・ダニロ・ルスティチDanilo Rusticiが亡くなりました。若き日のDanilo Rusticiなどの勇姿が見れるOsannaのドキュメンタリー映画Osannaples が完成したところでした。
OSANNA L' Uomo (1971)
https://www.youtube.com/watch?v=cAWQVkLyv3A&feature=share&fbclid=IwAR0bT569oqrjWnp15U8R9WkaxhOMtjChEpL88yNFrFeHv2gKWaFUL-cknQU
1970年代初頭では極めて斬新で、貴重なカラー映像。イタリアでコンサートを行ったGenesisのPeter GabrielがOsannaの衣装から影響を受けた話は有名。
Osannaの1st、2nd、3rd、5thとUnoの5枚は、本当に素晴らしくよく聴いたアルバムです。Danilo Rusticiのギターは、メロディアスで力強く一度聴いたら忘れられないフレーズがたくさんあり、今思い返すと自分にとってはイタリアで最高の、また世界的に見ても10指に入るギタリストでした。
日本では、まず、バカロフがアレンジしたMilano Calibro9とメロトロンMellotronのPalepoliが大きな話題になり、1979年からのイタリアンロック再発・発掘のきっかけとなりました。
Milano Calibro9のDiffジャケット
当時素晴らしいと思ったのが、1978年の新譜で、当時日本では未発売でほとんど話題にならなかったSuddanceです。しかしイタリア本国では、1stのL’uomoに続いてイタリアで権威のあるイタリア批評家賞を受賞しています。
特にChiuso Quiは、イタリアンプログレッシブロックとナポリ民俗音楽に加えて、当時世界の潮流だったクロスオーバーのテクニックも融合しており、自分にとって1978年の世界最高の楽曲です。
Osanna ☆ Chiuso Qui (1978)
https://www.youtube.com/watch?v=OdCmsPuauFM
4:50から当時のスーパーギタリストAl Di Meola級のギターソロが聴ける。
また、DaniloとElio Dannaが世界進出を目指した1974年のUnoも全曲捨て曲がない素晴らしいアルバムでした。Osannaの曲はOsannaが作者にクレジットされていましたが、Unoは作曲がDanilo、イタリア語の作詞がElioと明記されており、Osannaの作曲においてDaniloの貢献が大きかったことが伺えます。
Chiuso QuiもVairetti-Rusticiと明記されており、Daniloの作曲でLino Vairettiの作詞と思われます。
Unoは結局イギリスで発売されず、New Trolls、Ibis、Latte e mieleと同様に英国進出は果たせませんでした。しかし、Unoはドイツとフランスでは、楽曲の美しさに相乗効果を与えるヒプノシスHipgnosisの素晴らしいDiffジャケットで、全曲英語詞で発売されています。
ドイツ盤Uno ヒプノシスの本でも傑作ジャケットの一つとして掲載。
Uno - A-1 Right Place
https://www.youtube.com/watch?v=McxUvlOeE6E
UnoのA面1曲目。Daniloは好きなアーティストとして、同様に世界進出を目指したPFMやVittorio Nocenziを挙げていた。この曲もPFMのRiver of LifeやBancoのLeave me aloneからの影響が感じられる。
Uno - A-3 I Cani E la Volpe
https://www.youtube.com/watch?v=bpwY5NGDVLk
A面の3曲目。憂愁のある歌メロとサックスが素晴らしい。ドイツ盤ではLost and foundのタイトルで英語詞だった。
左:ドイツ盤のラベル 右:長年謎だったシングルは白ジャケプロモ盤だった
UnoのレコードのB面の1曲目 Uomo come gli Altriと2曲目 Uno nel Tuttoは一連の組曲になっていて、CDの5曲目と6曲目にあたるのですが、曲の区切りがレコードとCDでは異なっています。
レコードではUomo come gli Altriは10:00の大曲、2曲目 Uno nel Tuttoは1:35の小曲ですが、CDではUomo come gli Altriが1:28で、Uno nel Tuttoが10:11に長く区切られています。
Uno -B-1 Uomo come gli Altri(1:28)CD版
https://www.youtube.com/watch?v=jRKVSIiPqP4&list=PLn6IUYFGu6PJzXjqO7muvREpv58yHNu5Y&index=5
フォークタッチの1分半の美しい序曲からの怒涛の展開が見事。
Uno - B-2 Uno nel Tutto (10:11)CD版
https://www.youtube.com/watch?v=SMCPVjfo1DM&list=PLn6IUYFGu6PJzXjqO7muvREpv58yHNu5Y&index=6
小曲から途切れなく繋がる10分の大曲。4:00から、弟のCorrado Rusuticiによれば当時キーボードの方に関心を持っていたというDaniloのMellotron的な音とシンセサイザーの空間の拡がりが素晴らしい。7:00の歌から転調し8:30までのパートが本アルバムの最大の山で、イタリア盤でもドイツ盤でも英語で歌われているが、いずれもこの部分の歌詞がジャケットでは伏されている。
UNO - B-1 Away (10:00) 英語版 ドイツ盤
https://www.youtube.com/watch?v=wEc_SzvWd1s
Unoのドイツ盤のB面は、B-1とB-2が両曲すべて英語で、Away (Uomo come gli Altri)とGone(Uno nel Tutto)というタイトル。
英語版歌詞 B-1 Away 〜 B-2 Gone
Uno - B-3 Goodbye Friend (1974)
https://www.youtube.com/watch?v=uT_o615IT1k&list=PLn6IUYFGu6PJzXjqO7muvREpv58yHNu5Y&index=7
B面最後を飾る曲。Pink Floyd「狂気」の「虚空のスキャット」のLiza Strikeがボーカル。Unoの詞にはPalepoliの後に分裂したOsannaのメンバー間の音楽的葛藤がそのまま表れていた。
Osannaの他のアルバムも一言では表せない素晴らしい作品ばかりです。
今回は追悼にあたって、特に思い出深いChiuso QuiとUnoをとりあげました。
素晴らしい音楽をありがとうございました。RIP Danilo Rustici
Unoの1980年の再発盤LP(上 Danilo Rustici)