2020年09月01日

癒しのメロトロン Mellotron ドイツ編 Wallenstein Jürgen Dollase 再び

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Cosmic Music [Gilles Zeitschiff]の付録ポスター
Jürgen Dollaseがメロトロンを使用したWitthuser und Westrupp、Wallenstein、Sergius Golowin



今日の1曲
  Witthuser und Westrupp - Die Schlusselblume 1972年
  Sergius Golowin - Die weisse Alm 1972年
  Walter Wegmüller / Der Weise 1972年〜1973年
  Wallenstein / Song Of Wire 1973年
 Wallenstein - Dedicated to Mystery Land 1973年ライブ 


 7月の長雨に続き、8月の猛暑も終わりそうな気配がしてきました。台風で大きな被害が出ないことを祈るばかりです。コロナについても、日本でも外国でも少しずつですがコンサートの告知が出るようになってきました。

 久々の「癒しのメロトロン」はドイツ編、すでにブログ「カテゴリー:メロトロン」で紹介したWallenstein、Cosmic JokersのJürgen Dollaseです。彼は幼少からピアノを学び、普段からベートーベンを弾き、セミプロとしてバーでピアノなどを演奏していました。

 Wallensteinの1stから3rdの歌詞には直接的、暗喩的にベトナム戦争が書かれ、メロトロンにも重い時代背景があります。Jürgen Dollaseの幽玄の美学ともいうべきメロトロンをもう一度振り返ってみました。


[1971年]


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Blitzkrieg時代の写真:左からHarald Grosskopf Wolfgang Steinicke Jürgen Dollase

 最初期のWallensteinはBlitzkriegというバンド名で、現在は有名な天文学者Wolfgang Steinickeがギターを担当していました。Blitzkriegの名のイギリスのバンドがあったため、Wallensteinに変更しました。

 Wallensteinの1stから8thは、Scorpionsで世界的に著名なプロデューサーDieter Dierksスタジオで制作。Scorpions以前、WallensteinはDierksが最も力を入れて最初に成功したバンドでした。WallensteinのメロトロンM400はDierksスタジオのもの。

 1971年に加入したギタリストのBill Baroneによると、DierksスタジオでWallensteinの1st録音の際、M400をJurgenが弾くときに自分がチューニングしたそうです。BaroneもMellotronが好きで、Moody Bluesのファンとのこと。

Wallenstein / Audiences [Blitzkrieg]
https://www.youtube.com/watch?v=jTHoKm0jD9o
1971年録音の1stアルバム最後の曲。6:10からラストまで、暗黒に光が射すようなストリングス・メロトロン。VocalはJerry Berkers。ベトナム戦争現地でバンド演奏の際にダンサーの銃殺と銃撃戦を体験し、そのトラウマから後にコカインで死亡。






[1972年]

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左から Bill Barone Harald Grosskopf Jürgen Dollase Jerry Berkers 
オムニバスLP「Rapunzel」より


 Wallenstein の2nd、Mother Universeは、1972年8月のフランスの音楽誌で月間ベストアルバムに選出。ドイツ本国以外で高く評価されたドイツロックの最初のLPといえます。このころはKraftwerkもTangerine Dreamも外国ではまだ無名で、Can、Amon Duul 2がイギリスで発売されていた程度でした。

Wallenstein / Mother Universe
https://www.youtube.com/watch?v=E_ATd5vRvWk
1曲目。1:12からストリングス・メロトロン。5:07「天国への階段」の影響と思われる転調を経て、ラストまでメロトロンが響き渡る。Jerry Berkersの生前葬ともいえる深い歌詞。

Wallenstein / Mother Universe 歌詞Lyrics
https://lyricstranslate.com/ja/wallenstein-mother-universe-lyrics.html





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Witthuser und Westrupp / Bauer Plath の内ジャケットのJürgen Dollase


 1972年6月には、同じPilzレーベルのフォークデュオWitthuser und WestruppのBauer PlathにBerkersベース、Harald Grosskopfドラムス、Dollaseキーボード・メロトロンがゲストで参加しています。

Witthuser und Westrupp - Die Schlusselblume [Bauer Plath]
https://www.youtube.com/watch?v=d-GewRK3bgE
冒頭から鈴のようなサウンドの背後のストリングス・メロトロンはまさに幽玄の美学。後半はMother Universeに匹敵する名演。





 さらにDollase、Berkers、Grosskopfは、Ohr、Pilzレーベルから選抜されたCosmicセッションに1972年から参加。Klaus SchulzeやManuel Gottschingらとセッションを重ねます。

Sergius Golowin - Die weisse Alm  [Lord Krishna von Goloka]
https://www.youtube.com/watch?v=ZUclO6TwqIo
Dollase作曲。Witthuser und Westruppのツインアコースティックギターと癒しのコーラス・メロトロン。 





Sergius Golowin - Die weisse Alm 別ヴァージョン [The Cosmic Jokers / Gilles Zeitschiff]
https://www.youtube.com/watch?v=QAv5ds6Kt48
9:45からDie weisse Almの別Mixで、ウインドチャイムとDollaseの語りが加えられている。この曲の前後は、Timothy Leary+Ash Ra Tempel / Seven Up。全般にKlaus Schulzeのシンセサイザーが使用された。





Walter Wegmüller / Der Weise  [Tarot]
https://www.youtube.com/watch?v=j7sV9byAAjY&list=OLAK5uy_mK2tTYWP8rE7TV0qKAGqelbB0lUuFACds&index=10
TarotアルバムでKlaus Schulze自身が詞を朗読する異色作。0:36、3:31のDollaseのコーラス・メロトロンに癒される。

Walter Wegmüller / Die Zerstörung  [Tarot]
https://www.youtube.com/watch?v=2BhPg6VoPRc&list=OLAK5uy_mK2tTYWP8rE7TV0qKAGqelbB0lUuFACds&index=18&t=0s&fbclid=IwAR3WYAZPkTBbK6exjfVRMM_AT1AxqRvAGJNqx3oFFV2tIhi0GHAX4InE2xc
ピアノ、ストリングス・メロトロンにコーラス・メロトロンが加わる陶酔の音。2枚組LPのC面の最後で、D面の大曲への導入部となる。






[1973年]


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「BRAVO LP」と印字されたWallenstein / Cosmic Centuryの2ndプレス。


Wallenstein - Dedicated to Mystery Land (1973)ライブ [Mother Universe]
https://www.youtube.com/watch?v=6ZIq2m9OCWQ
Wallensteinの当時の人気を証明するスイスTVでの驚愕のカラー映像。ボーカルだったベースのBerkersは精神に異常を来して脱退し3人で演奏。イントロで、Tangerine DreamやCosmicセッションからの影響と思われる効果音を使用。

 1973年4月〜7月ごろのDierksスタジオでのThe Cosmic JokersのセッションではGalactic Supermarketで、Dollaseがコーラスメロトロンを大胆に使用しました。

The Cosmic Jokers / Kinder des alls [Galactic Supermarket]
https://www.youtube.com/watch?v=e_icIBkF5CA
DollaseのコーラスメロトロンにKlaus Schulzeのシンセサイザー、 DollaseのPianoが絡む。Tangerine Dreamの全盛期にも匹敵するCosmic musicの傑作。





 Mother Universeで勢いを得たWallensteinは、3rdアルバムCosmic Centuryを発表。1973年11月にドイツで月間ベストアルバム「BRAVO LP」に選出されています。Song Of WireではCosmic セッションで発見したコーラスメロトロンを大々的に使用。

Wallenstein / Song Of Wire [Cosmic Century]
https://www.youtube.com/watch?v=-Qa-XHc9cV4
6:36コーラスメロトロン。7:20からラストまでが、Baroneのギターと絡むDollaseのメロトロンの最後の輝き。

Wallenstein Symphonic Rock Orchestra / Silver Arms (オーストリアTV, 1973) [Cosmic Century]
https://www.youtube.com/watch?v=t1G8OEPqTus
これもWallensteinの当時の人気を証明する貴重なカラー映像。2:13でバックにメロトロンを使用。





 Wallenstein、Jürgen Dollaseの「癒しのメロトロン」もまたベトナム戦争の終結とともに役割を果たしたと思えます。Wallensteinは4thでメロトロンの使用を止め、1977年から1981年までメンバーを変え、ポップバンドとして別の道を歩むようになりました。

Wallenstein-Charline 1978
https://www.youtube.com/watch?v=iGCjzXVPgtQ
ドイツで17位にランクされたヒット曲。


1970年代初期のドイツロックを網羅した著作



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posted by カンカン at 23:46| 神奈川 ☁| Comment(0) | メロトロン Mellotron  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする